「日本の人々は、いつもお互いのことを気にしている。アメリカでは周囲を気にせず好きな研究ができる」
ノーベル物理学賞受賞をしたあとの記者会見で、米国籍取得の理由について問われた真鍋氏はこのような発言をしました。
真鍋氏は日本の愛媛県出身ですが、27歳のときにアメリカに移住し研究を続け44歳でアメリカ国籍を取得しました。
そして今年、90歳で見事ノーベル物理学賞を受賞されました。
真鍋氏が日本ではなくアメリカでの生活を選んだのには、文化・環境の違いがあったということです。
本日は冒頭で取り上げた発言を受けて、日本とアメリカの違いから環境の重要性について考えていこうと思います。
日本人の協調性
日本人は協調性を大事にする傾向があります。
これに関して真鍋さんは会見で次のような発言をしていました。
日本人はいつもお互いのことを気にしてとても協調的な関係を築こうとします。日本人が互いに上手くやっていける理由はそこにあると思います。
たしかに普段の生活でも、自分自身よりも相手のことを第一に考えて行動をするということがよく見られます。
そのため日本人は協調性に優れていると言われています。
これは義務教育のときからそのように教えられていることが影響していると考えています。学校生活の中では周囲と同じように仲良く協力することが良いことだと教え込まれます。
スポーツ競技などで日本はチームワークに長けていると言われるのはこうした背景があるのかもしれません。
また同じ場で真鍋氏は次のようにも語っています。
日本人に質問をしたときに「はい」と返答するとき、それが必ずしも「はい」を意味するわけではないのです。
他の人を傷つけないためにそうしていることがあります。
協調性があるということは裏を返せば自己主張が弱いということにもなります。本当に思っていることを隠してでも周りと同調しなければならないという側面があるのです。
以前の私の記事で『1%の選択の魅力』について書いたことがあります。
1 %の選択をする人生こそ魅力的である
よろしければこちらもご覧になっていただきたいのですが、日本人は周囲と同じということを好む傾向があります。
そのため時には自分自身の本当の気持ちに嘘をついてまで、周囲と同調する選択をすることがあります。
そうする理由には色々あると思うのですが、主に以下のような想いがあるのではないかといえます。
- 周囲との対立を避けたい
- 自分の主張をして責任を負いたくない
- 考えるのがめんどくさい
ネガティブな理由が多いんですよね。
もちろん対立をするということは非常にエネルギーを使うことなので、なるべく穏便にその場を過ごしたいという気持ちも分かります。
これは皆さんの普段の生活でも身に覚えがあるのではないでしょうか。
- 自分は焼き肉を食べたいけど相手が寿司を食べたいと言ったのでそんなに気分ではなかったけど寿司を食べた
- 思い切って転職したいけど、周囲に反対されているのでなかなか踏み出せず今の職場で働き続けている
- 会社で意見を求められたが、考えるのが嫌で今出ている意見に賛成というスタンスを取った
ほんの一例ですが、日常生活では色々な場面でこうしたことが起きていることと思います。そして後から後悔することもあるのではないでしょうか。
対立することは悪いことではありません。
お互いの意見をぶつけ合って最終的な結論に価値が生まれるという場合も多いです。
日本人は協調性を重んじるがゆえに自己主張が弱い
アメリカの実力主義
対してアメリカについては、真鍋氏は次のような発言をしていました。
アメリカでは私の好きなことができます。周りがどう感じているかは気にしません。
アメリカは実力主義と言われており、実力があるモノは優遇され弱者は冷たく扱われます。
実際、業績の悪い社員は遠慮なく解雇されますし、採用のされ方も日本とは異なり学生時代の専攻内容がきちんと見られ即戦力が求められます。
実力があれば住みやすいし、実力がないと大変苦労する国ということになります。
自分が努力して成果を出せばそれだけ評価されます。
責任が自分にしかないので、上手くいくのも失敗するのも自分の行動に左右されます。
他人のせいにしたり環境のせいにするということができません。
こうした環境で自分のやりたいことを突き詰めた結果、真鍋氏はノーベル賞受賞という功績を手に入れました。
本当におめでとうございます!
環境の重要性
この件を受けて改めて『環境の重要性』というものについて考えさせられました。
私は環境に惑わされずに自分の生きたい道を進むんだ!
そう思っていても、普段接している周囲の人々が協調性を大事にするタイプだった場合、その意志をずっと継続させることは非常に難しいでしょう。
逆に周囲の人もそれぞれが自分の思うように生きている中ですと、自分自身もそうするのは自然なことになるでしょう。
我々人間は無意識のうちに周囲の影響を受けてしまう生き物で、これはどうしようもないことです。
それならば、自分が影響を受けたいと思えるような環境に身を置くことが大事だということになります。
逆に自分が受けたくない影響は意識的に除去していかなければなりません。
日本とアメリカの考え方の違いをご紹介しましたが、どちらが良いとかいう話ではないです。どういう環境が自分に合っているかを考えて、力を発揮できる環境で進んでいけばよいのです。
幸運にも日本はとても裕福な国で多少のことでは命を失うことがないので、じっくり腰を据えて選択を決めていくことができると思います。
若いうちは失敗しようがいくらでもやり直しができるので素晴らしい環境に恵まれました。
何かが違うと感じている場合は、環境を変えてみることで良い方向に向かうことができるかもしれません。
自分に合っている環境でこそ力を発揮できる
まとめ
「私はまわりと協調して生きることができない。それが日本に帰りたくない理由の一つです」
真鍋氏は最後にこう言いました。ユーモアがありますね。
誰しも得意なこともあれば不得意なこともあります。
各自が自分の本当に力を発揮できる環境で100%出し切れるようになれば、もっと生きやすくなるのではないかと思っています。
結果として周囲に良い影響を与えることができるならば自分勝手でも良いと私は思っています。
お互いがWin-Winになれるような行動を選択できるようになりたいですね。
読んでいただきありがとうございました。